「送る」と「贈る」という同じ「おくる」と読まれる漢字には、使い分けが必要な違いがあります。
「送る」は、物や情報を相手に届ける、人を特定の場所へ行かせる、別れや死者を見送る、時間を過ごす、順に移す、送り仮名をつけるといった意味を含みます。
一方、「贈る」は、感謝、敬意、祝福、愛情、同情などの感情を込めて、人に金品や官位、称号などを与える際に使われます。
物を送る際、その目的が物理的な届けることなら「送る」を、感謝や敬意などの気持ちを表す場合には「贈る」と表現します。特に、贈呈するものが貴重な場合や手渡しでないときは「送る」が適切です。
シチュエーション別の使い方
例えば祝電の場合、「配送」の意味であれば「送る」を使いますが、祝福のメッセージを届ける意味であれば「贈る」を使用します。
弔電は、お悔やみのメッセージであるため通常は「送る」が適切ですが、「弔電を打つ」や「弔電を手向ける」が丁寧な表現とされています。
卒業生に向けた別れの言葉は「送辞」と呼ばれ、「送る言葉」とされます。海援隊の「贈る言葉」は、愛情や思い出を贈ることを意味しているので「贈る言葉」が正しいです。
具体的な使用例
ここでは、日常生活で良く使われる使用例をみてみましょう。
「送る」の例
- エールを送る、送り状、送り出し、送り迎え、送る言葉(送別の場合)、仮名を送る、祝電を送る、順送りに、荷物を送る、野辺の送り、日を送るなど。
「贈る」の例
- 贈り物、贈る言葉(賛辞や激励の場合)、感謝状を贈る、勲位を贈る、賛辞・祝辞を贈る、…の言葉を贈るなど。
まとめ
「送る」と「贈る」の違いと使い分けについて理解することは、日本語の表現を豊かにするために重要です。
物理的な届ける行為や、時間の過ごし方、別れや見送りを示す際には「送る」を用います。
対して、「贈る」は、感謝や敬意、愛情などの感情を込めて何かを与える際に適しています。シチュエーションに応じて正しく使い分けることで、言葉のニュアンスがより明確になり、相手に対する思いやりを表現できます。
日常のさまざまなシーンでこれらの言葉を適切に使い分けることで、コミュニケーションがより豊かになるでしょう。