日本語では、「みっともない」と「見苦しい」という表現はどちらも他人に不快感を与えることがあるが、その使い方には本人の感情を表すかどうかという点で違いがあります。
「みっともない」「見苦しい」「はしたない」のそれぞれの意味
日本語の表現「みっともない」とは、個人の姿勢や行動が体裁に反するときに使われることが多いです。例えば、「浪人を何度も繰り返すのは体裁が悪い」とか、「会社の評判を傷つけるような行動」など、自分や他人の目線から見た場合に用いられます。「見苦しい」は、他者の行動に対する評価として使われ、「逃げるのは見苦しい行為だ」というように他人の行為を批判する際に用いられます。
「みっともない」という表現は、自分の行動を低く評価する際にも使用されます。例えば、失敗をしてしまった時などに用いられることがありますが、過度に使うと周りの人を不快にさせることもあります。
一方、「はしたない」は、見た目だけでなく、言動に対して用いられることが多い言葉です。特に女性の行動に対して用いられがちで、「食事中に話すのは品がない」とか「品のない言葉遣い」などと表現されます。これらの言葉は、一般的に礼儀や品位に反する行為を指すことが多いです。
見苦しい/みっともない/はしたない の使い分け
以下は、「お見苦しい」「みっともない」「はしたない」という表現を使った、さまざまな文例を紹介しています。
「お見苦しい」を使った例文:
- 「迷惑をおかけしてしまい、お見苦しい状態になってしまったこと、深くお詫び申し上げます」
- 「もし何かお見苦しい点があれば、心からお詫びいたします」
- 「申し訳ありません、本当にお見苦しい姿を見せてしまいました」
「みっともない」を使った例文:
- 「上司に『みっともない行動は慎むように』と叱られました」
- 「不適切な姿勢をとってしまい、本当に恥ずかしい思いをしています」
- 「みっともない振る舞いをしてしまい、心からお詫び申し上げます」
「はしたない」を使った例文:
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「彼は徐々に母親のはしたない態度に耐えられなくなってきました」
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「彼女は大きな声で泣くなど、はしたない行為をせず、静かに過ごしていました」
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「彼女は穏やかに『そのようなはしたない行動は控えてください』と促しました」
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「妻としても、そのようなことは恥ずかしいどころか、はしたないとも思いません」
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「その子の母親は『どうしてそんなに品がないの?』と注意しました」
「はしたない」の語源から理解するとよく分かる?
「はしたない」という言葉の起源を見てみましょう。
「はした」というのは、元々「端」と書き、数が合わない端数や不完全なことを指す言葉でした。不完全で落ち着かない様子を「恥ずかしい」や「居心地が悪い」といった意味で使うようになり、そこから「行儀が悪い」という意味に変化しました。
「ない」という部分には実は3つの異なる意味があります。まず、形容詞の「無い(ない)」は「存在しない」を意味し、何かが効果を持たない、意味をなさない状況を指す際に使われます。
次に、否定を示す助動詞の「ない」で、例えば「走らない」「言わない」という使い方をします。最後に、接尾語としての「ない」は「極めて」という意味を持ち、形容詞を強調する役割を果たしています。
したがって、「はしたない」の「ない」はこの最後の形で、これにより「はした」を強化し、「非常に行儀が悪い」という意味の「はしたない」が形成されています。