爬虫類は鳴くこともなく、静かで匂いも少ないため、近年ペットとして人気が高まっています。
これから爬虫類を飼育しようと思っても、何が必要かわからないことがありますよね。
この記事では、爬虫類の飼育に必要な設備について解説します。
最近、爬虫類はペットとして非常に人気があり、多種多様な種類がペットショップで販売されています。
以前は流通が少なかった種類の爬虫類も、近年は増加し、ペットショップなどで取り扱われることが増えています。
爬虫類を販売している店舗も増え、ペットとして身近になってきましたが、爬虫類についてわからないことも多いと思います。
爬虫類を飼育しようと思ったら、まずは飼育する爬虫類に合わせて設備を整える必要があります。
この記事では、爬虫類の飼育に必要な設備についてご紹介しますので、爬虫類を飼いたい方はぜひご覧ください。
爬虫類を飼う前に
爬虫類には多くの種類がありますが、飼育設備は大きく変わりません。
種類によっては必要な設備が少なく、初心者でも飼いやすい爬虫類も多いです。
長生きする種類も多いので、最後までしっかり飼育するようにしましょう。
爬虫類はペットとして人気が高く飼育者も多いですが、無責任な飼育で自然に捨ててしまうと、社会問題になりますので注意が必要です。
生体を購入する前に設備を整え、迎えたらすぐにケージに入れられるように準備しておきましょう。
必要な設備
ここでは、爬虫類の飼育に必要な設備をご紹介します。
飼育する種類によって必要な設備は異なりますので、それぞれの特徴に合わせて用意しましょう。
飼育ケージ
まず必要なのは、飼育ケージです。
大型のイグアナやリクガメを飼育する場合、大型犬用のケージが使われることもありますが、基本的には水槽や爬虫類用のケージが使われます。
ケージの種類ごとにメリットとデメリットがあり、飼育環境に合わせて使いやすいものを選びましょう。
アクリル・プラスチック製
アクリルやプラスチック製のケージは、ガラス製のケージに比べて安価で軽量、かつ丈夫です。
また、軽量で丸洗いしやすく、メンテナンスが容易なのがメリットです。
割れにくいので、大型で力の強い爬虫類の飼育には、アクリル製のケージが使われることが多いです。
重ねて使うことができるため、複数の爬虫類を飼う場合に管理がしやすく、おすすめです。
デメリットとしては、ガラス製に比べて傷がつきやすいため、爪などで細かい引っ掻き傷がついて白く濁ることがあります。
使うと傷がつき、鑑賞性が低下することもあります。
ガラス製
ガラス製のケージには、爬虫類用と水槽があります。
アクリルやプラスチック製のケージに比べて傷がつきにくく、鑑賞性が高いです。
ただし、重量があるため、掃除などのメンテナンスが少し大変です。
前開きのケージは、給餌や掃除のメンテナンスが楽なので、ガラス製のケージを選ぶ場合は、水槽よりも爬虫類用のケージがおすすめです。
爬虫類用のケージには、コードを通すための穴やライトを設置するためのステーなどが付いています。
ケージの大きさ
爬虫類の種類によって、必要なケージの大きさは異なります。
運動量が多い場合、大きなケージが必要です。
樹上棲のヤモリやカエルを飼育する場合、立体的に移動できるように高さのあるケージが必要です。
必要なケージの大きさの目安を紹介しますので、飼育する爬虫類に合わせて用意してください。
爬虫類の種類 | 大きさ |
地表棲のヤモリ | 幅が体長の1.5倍、奥行・高さが体長と同じ |
樹上棲のヤモリ | 幅が体長の1.5倍、高さが体長の2倍 |
地表棲のトカゲ | 体長の2倍、奥行・高さが体長と同じ |
地表棲のヘビ | 床面積がとぐろの3倍 |
リクガメ | 幅が体長の5倍、奥行が体長の3倍 |
保温器具
爬虫類は変温動物のため、室温を管理する必要があります。
保温器具を使って室温を管理しましょう。
一般的に、保温器具にはパネルヒーターや保温球を使います。
冬の寒い時期には、保温器具一つだけでは室温を適切に保てないことがあります。
そのため、パネルヒーターと空間全体を温める保温球や暖突などを組み合わせて使うと良いです。
保温器具の選び方
保温器具は、飼育ケージのサイズに合わせて選びましょう。
ケージ全体を温めると、暑くなった時に逃げ場がなくなってしまうため、パネルヒーターはケージの半分ほどのサイズを選びましょう。
紫外線ライト
紫外線には波長によって異なる種類があり、UVAは代謝を上げて脱皮を促進し、食欲を促進する効果があります。
UVBはビタミンDを生成し、カルシウムの吸収を助けます。
ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収ができなくなり、クル病の原因になります。
病気の予防以外にも、脱皮を促進し、食欲を増進させる効果があるため、昼行性の爬虫類を飼育する場合は紫外線ライトを用意しましょう。
ヒョウモントカゲモドキなどの夜行性の爬虫類を飼育する場合、紫外線ライトは必要ありません。
紫外線ライトの選び方
爬虫類を飼育する際に重要なのはUVBです。
紫外線ライトには、UVBの強さが「2.0」「5.0」「10.0」などで表記されていることが多いです。
これは、ライトの光の中に含まれるUVBの割合を示しており、2.0なら2%、5.0なら5%を意味します。
砂漠に生息する爬虫類と熱帯雨林に生息する爬虫類では、必要な紫外線量が異なります。
フトアゴやリクガメなど紫外線の強い環境に生息する爬虫類を飼育する場合は10.0、熱帯雨林や森の中など日の当たらない場所に生息する爬虫類の場合は2.0を選びましょう。
紫外線ライトの交換頻度
紫外線ライトは、使用していると照射される紫外線量が減少します。
気づかないうちにUVBの照射量がほとんどなくなっていることもあります。
紫外線ライト
が必要な爬虫類を飼育する場合、定期的な交換が重要です。
紫外線ライトのパッケージには有効期限が記載されているため、有効期限を守り、定期的に交換するようにしましょう。
温度管理に欠かせないサーモスタット
サーモスタットは、温度を管理するための装置です。
設定温度より低くなると保温器具のスイッチが入り、設定温度より高くなるとスイッチが切れるため、気温が変動する季節でも温度を一定に保つことができます。
一部の保温器具にはサーモスタット機能が内蔵されています。
サーモスタットがないと、ケージ内の温度が上がりすぎて生体の体調を損ねることがあるので注意が必要です。
サーモスタットにはタイマー機能が付いているものもあり、紫外線ライトのオンオフも管理できます。
紫外線ライトを使う場合は、タイマー機能付きがおすすめです。
高価なサーモスタットでは、昼と夜で温度を切り替えることができます。
昼と夜で温度を変える必要がある場合は、昼夜で温度を設定できるサーモスタットを用意しましょう。
サーモスタットの選び方
サーモスタットを選ぶ際には、爬虫類用かどうか確認してください。
サーモスタットには、爬虫類用だけでなく、熱帯魚やウサギ、デグーなどの小動物用もあります。
鳥や小動物用のサーモスタットも使用できますが、爬虫類用のサーモスタットほど細かく温度設定ができない場合があります。
爬虫類は変温動物のため、細かい温度設定が必要です。
レオパなど、温度変化に強い爬虫類なら小動物や鳥用のサーモスタットでも問題ありませんが、温度管理が難しい爬虫類には爬虫類用のサーモスタットを使用しましょう。
体温調整に欠かせないバスキングライト
バスキングライトは、爬虫類が日光浴で体温を上げるために必要な設備です。
ケージの一部を暖かくすることで、爬虫類が自由に日光浴をできます。
爬虫類は変温動物なので、日光浴で体温を上げて代謝を高めます。
朝起きて体温を上げてから餌を食べるため、昼行性のトカゲを飼育する際は、バスキングライトを設置してください。
ヘビやヤモリ、ヒョウモントカゲモドキにはバスキングライトは必要ありませんが、昼行性のトカゲやリクガメには必須の設備ですので、準備を忘れないようにしましょう。
温度・湿度計
サーモスタットで温度を管理していても、センサーに誤差があるため、設定温度と若干異なることがあります。
そのため、温度計を設置して温度を管理しましょう。
また、爬虫類を飼育する際は湿度管理も重要です。
多湿を好む爬虫類の場合、湿度が下がりすぎないように霧吹きで湿度を上げる必要があります。
湿度が低すぎると脱皮不全を起こすことがあるので注意しましょう。
温度湿度計の選び方
温度湿度計には、アナログとデジタルの2種類があります。
アナログは電池が不要で手軽に使えますが、デジタルに比べて正確な数値を把握しづらいです。
デジタルは電池が必要で価格も高いですが、正確な数値を確認しやすいです。
デジタルの温度湿度計には、スマホで確認できる商品もあります。
サーモガンの便利さ
バスキングライトが必要な爬虫類には、サーモガンもおすすめです。
爬虫類を飼育する際には、ケージ内に温度勾配を作る必要があります。
サーモガンは部分的な温度を測れるため、ケージ内の温度勾配を確認できます。
サーモガンがあると、温度計の誤差も確認できるので便利です。
床材
床材がないと、爬虫類が足を滑らせてしまい、うまく移動できません。
また、床材は排泄物を吸収したり、保湿効果もあるため、爬虫類の飼育に適しています。
床材の選び方
床材は飼育する爬虫類に合わせて選びましょう。
乾燥した環境を好む爬虫類には、サンド系の床材が適しています。
湿度の高い環境を好む場合は、ミズゴケやヤシガラなどの保湿性の高い床材が良いです。
シェルター
自然環境では、爬虫類は木陰などに身を潜めます。
そのため、飼育する場合はシェルターを設置しましょう。
紫外線ライトを照射している場合でも、過剰な照射は有害です。
シェルターがあれば、過剰な紫外線から身を隠せます。
爬虫類のサイズに適したシェルターを用意しましょう。
餌入れ・水入れ
餌や水を安定して与えるために、餌入れや水入れが必要です。
水浴びをする爬虫類もいるため、飼育する種類に合わせて選びましょう。
カメレオンなどの水切れに弱い爬虫類には、自動のミストシステムがよく使われます。
爬虫類を飼育する際の注意点
爬虫類は、簡単に飼える種類も多いですが、飼育する際には注意が必要です。
ここでは、簡単な注意点を紹介します。
生き餌が必要な場合も
ヒョウモントカゲモドキなど、飼いやすい爬虫類でも生き餌が必要な場合があります。
ヒョウモントカゲモドキには人工餌もありますが、個体によっては食べないこともあります。
ヘビを飼育する場合、冷凍のピンクマウスなどを与える必要があります。
冷凍のピンクマウスは冷蔵庫で保管できますが、コオロギやデュビアなどは生きたまま保管する必要があります。
人によっては、冷凍のピンクマウスや昆虫が苦手な場合もあるでしょう。
そのため、昆虫が苦手な人には爬虫類の飼育は難しいかもしれません。
人になつかない
爬虫類は基本的に、人になつきません。
飼育していると人に慣れ、餌をもらえると思って近づいてきますが、これは懐いているわけではありません。
爬虫類は犬や猫のように、スキンシップを好むわけではありません。
手に乗せてハンドリングを楽しむこともできますが、長時間のハンドリングはストレスとなり、拒食を引き起こすこともあるので注意しましょう。
一緒に遊んだり、スキンシップを楽しみたい場合、別のペットを探すのが良いでしょう。
電気代がかかる
飼育する爬虫類にもよりますが、保温器具やバスキングライトを設置していると、電気代がかかります。
大型の爬虫類の場合、使用する保温器やバスキングライトの量も増えるため、電気代も高くなります。
保温器具だけでは温度が上がらない場合、エアコンを使用する必要もあります。
ヒョウモントカゲモドキやコーンスネークであれば、電気代はそれほど高くなく、月に1000円ほどの増加です。